急増中!?もしかしたらストレス脳かも・・・

現代はストレス社会であるといわれています。
物質的には豊かになった反面、心に問題を抱える人は増え続け、社会問題になってきています。
働いている人だけみても、精神障害の労災認定は、平成21年度には234件だったのが、平成22年度には308件、平成23年度には325件、平成24年度には475件と3年前と比べると倍以上にも膨れ上がっています。
それを受け、厚生労働省は、平成26年に労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師、保健師等による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務づける法案を提出しました。
それだけ個人レベルを超えた早急な対応の必要性が必要だったともいえます。

ここまで、ストレスが社会問題となっている背景の1つとして言われているのが、ストレス脳です。
現代の問題、ストレスについてストレス脳という観点からその特徴と改善法についてみていきましょう。

ストレス脳とは何か?

ストレス脳とは何か?

ストレス脳とは、脳の使い過ぎなどが原因でストレスに過敏に反応し、オーバーヒート気味になった脳のことです。

日本大学の酒谷薫教授によるとストレスに弱い人には、脳にある特徴があるそうです。

あなたはストレス脳ではありませんか?簡単チェック

あなたはストレス脳ではありませんか?簡単チェック

ストレス脳の状態にあることを知らずに放っておくとパニック障害などの精神疾患になる場合もあるといわれています
それ以外にも、ストレス脳になると身体のいろいろな場所に不調をきたすことがあります

身体から発するシグナルを早めにキャッチすることがストレス脳改善のための第一歩です。

以下の項目で、2つ以上チェックがあれば要注意。
ストレス脳の可能性があります。

・吹き出物が出やすい
・身体がだるい
・頭痛が頻繁に起こる
・首や肩の凝りがでやすい
・よく眠れない
・便秘や下痢をしやすい

作業効率や判断力を低下させるストレス脳

作業効率や判断力を低下させるストレス脳

先ほど述べたようにストレス脳の原因と考えられているのが脳の使い過ぎです。

現代社会での生活は情報にあふれています。
インターネット、テレビ、雑誌、新聞などに加え、電車の中の広告やネオンなど、普通に生活しているだけでも容易に情報過多になってしまいます。

脳の使い過ぎでいっぱいいっぱいになり、脳の処理能力を超えてしまうと、脳は情報を処理するころを諦めるといわれています。

テンプル大学神経意思センターのAngerlika Dimoka博士が行った実験です。
「組み合わせオークション」という心理学的にも過酷なものを使って行っています。

被験者には、とまどうほどの多量の物件のセリに参加してもらいました。このセリでは、それぞれの物件は単独でも組み合わせでも購入できます。当然、購入数が増え、組み合わせが複雑になって来れば情報量も増えてきます。
そのときの脳の働きを調べました。
その結果は、情報が増えると意思決定や感情抑制に関係する背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)が活性化することがわかりました。情報を処理しようと脳が一生懸命働き始めたということです。
ところが、情報量がさらに増えると脳はその作業を中止してしまいました。仕事放棄です。そして、そのときの彼らはというと、当然セリに対しての判断力は低下していました。それだけではなく、感情も乱れ始めていたそうです。

このように情報量が増えすぎて前頭前野が仕事放棄し、作業効率や判断力が低下するということがストレス脳でも起こっている可能性があるということです。

ストレス脳の脳内で起きていること

ストレス脳の脳内で起きていること

ストレスを受けると額の後方にある前頭前野が活性化します。
前頭前野は、ものごとを考えたり判断したりするといった人間らしい機能を司る場所です。
ただ右側と左側では、その働きが違っています。

右側が怒りや不安といったネガティブな感情に関係しているのに対し、左側はポジティブな感情に関係しています。

ストレスがかかったときに両側の前頭前野が活性化しますが、ストレス脳の人は右側が強く活動し、心拍数上昇や発汗などのストレス反応がでます。

これは、ネガティブな感情に関係している右側の前頭前野が活性化すると、脳が身体を守る多もの指令を出し、身体が常に緊張状態になるからではないかとされています。
その結果、ホルモンや自律神経のバランスが崩れ、吹き出物や身体・首の凝りなどの身体的不調をきたすのではないかと考えられています。

健全な脳の働きは?ストレス脳と比較して

健全な脳の働きは?ストレス脳と比較して

ストレス脳ではストレスがかかったときに右側の前頭前野が強く活動するのに対し、健全なリラックスしている脳では左側の前頭前野が強く活動します。

おもしろいことに、一般的に将来のストレスを予測したとき、快刺激は左前頭前野の活動と関係し、不快刺激は右前頭前野の活動と関係するとされています

このことから考えると、ストレス脳ではストレスがかかったときネガティブな事象を予想し更なるストレスを生み出すというようなネガティブスパイラルの状態に陥りやすいのに対し、リラックスしている脳ではストレスがかかったときにでもポジティブにとらえなおしストレスから脱することができるということかもしれません。

さらに、不快刺激の予測は視覚野におけるネガティブな情報の入力を調整に関係しているとされています。つまり、不快な刺激が来ると予想すると前頭前野を含む脳内ネットワークを介して、感覚野におけるストレスフルな入力を減弱させていると考えられるわけです。つまり、ストレスのネガティブスパイラルに陥り、ストレスが増幅された状態になりがちなストレス脳では、情報の入力が制限された結果、作業効率や判断力低下を起こし得るということでしょう。

ストレス脳を自覚したらまずはこれをしよう

ストレス脳を自覚したらまずはこれをしよう

では、ストレス脳を自覚したらどうしたらいいのでしょうか?

使いすぎで起こっていることなので、まずは脳を休めてあげるというのが定石でしょう。

とはいっても、脳を休めるのはそう簡単ではないかもしれません。

いったんネガティブスパイラルに陥ってしまった脳は、ぼーっとしようとしてもネガティブな考えが頭の中をぐるぐる回ってしまうということはよくあることです。
これでは、何もしないでいても前頭葉はお休みしていることにはなりません。

では、休もうとしても休めないという状況に陥った時にはどうしたらよいのでしょう。

日常に簡単に取り入れられることとして考えられるのは、香りと運動です。

人の嗅覚は直接、感情をつかさどる脳の部位に働きかけるため、ラベンダーやベルガモット、ゆず、ネロり、サンダルウッドなどといったリラックスする香りを利用することでストレスから解放されることが期待できます。

そして、ウォーキングやジョギングなどのリズム運動は、心身のバランスをとるセロトニンを増やし、脳をストレスから解放してくれると考えられています。

習慣を変えればストレス脳は改善する

習慣を変えればストレス脳は改善する

では、ふだんの生活ではどういうことに注意したらよいのでしょう。

まずは、触れる情報量を減らすことが大切です。

具体的には、無理のない範囲内で、スマホやネットなどを使わない時間を設けるのがよいでしょう。いわゆるデジタル・デトックスです。
マンダリンオリエンタル・グループがデジタル・デトックスのプログラムを設けるなど、今や高いお金を払ってデジタル・デトックスをする時代のようですが、少しずつであればふだんの生活でも取り入れることはできるはずです。

他には、良質な睡眠をとること、笑うこと、マインドフルネスなども有効です。
自分のできるところから始めてみるとよいかもしれません。

まとめ

ストレス脳について、概要と改善法についてまとめてみました。

ネガティブ思考の人、神経質な人、パニックになりやすい人、完璧主義な人はストレス脳になりやすいとされています。
改善は自覚することから始まります。
もしかしたらと思ったら、無理のない範囲から生活習慣を見直すとよいかもしれません。

 

参考
労働安全衛生法の一部を改善する法律(平成年法律第82号)
The Science of making decision by Sharon Begley on 2/27/11 at 10:00 AM Newsweek TECH & SCIENCE
ストレスを感じる前頭前野―ストレス適応破綻の脳内機構― 岡本康昌 日薬理誌 126, 194-298, 2005

この記事を書いた人

木ノ本景子

木ノ本景子

研修医期間終了後、神経内科医として主に急性期病院にて13年間勤務。
3年間の回復期病棟での勤務を経て、平成24年より在宅医療に従事している。

多くの患者さんにかかわる中で、より健康であるためには、病気にだけフォーカスをあてるのでは不十分なのではないかと実感し、医療の分野以外にも学んでいる。

高齢になっても若々しく元気な方たちの特徴から、自分らしく生きることが重要性を感じ、そのためのツールとして脳と心についての情報をフェイスブックページやホームページを通じて発信している。

一悟術リーディング3級、日本内科学会 内科認定医、日本神経学会 神経内科専門医、医学博士、日本臨床栄養協会 サプリメントアドバイザー、感情カウンセラー協会認定 感情カウンセラー、リズ・ブルボーのからだの声を聞きなさいスクール カウンセラーコース終了、NLPプラクティショナー、著書に『脳の取扱説明書』(みらいパブリッシング)

HP:http://www.harmonista.org/
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